古物商が古物営業(古物の売買・交換等)を行うには、古物営業法により色々な義務が規定されていますが、それ以外にも関係する各種法令により、様々な義務が規定されています。知らずに営業して、これらの規定に違反すると、行政処分を受けたり、場合によっては刑事訴追を受けることにもなりかねません。
古物営業を行うに当たっては、必要な知識を習得し、適正な営業を行うよう心掛けましょう。取り扱う品目により関係する法令も異なりますが、知っておきたい主な法令の概要は次のとおりです。
東京都青少年の健全な育成に関する条例
- 古物商は18歳未満の者から古物を買い受けることが原則として禁止されました。
- 少年から使用済み下着等を買い受け、売却の委託を受け、又は売却の相手方を青少年に紹介してはなりません。
犯罪による収益の移転防止に関する法律
金、白金その他の政令で定める貴金属若しくはダイヤモンドその他の政令で定める宝石又はこれらの製品(以下「貴金属等」という。)の売買を業として行う者は、特定事業者として次の義務が課されます。
- 200万円を超える現金取引は、本人確認が必要です。(個人であれば住所、氏名、生年月日、法人であれば名称、所在地)
- 200万円を超える現金取引は、本人確認記録の作成・保存が必要です。
- 200万円を超える現金取引は、取引記録の作成・保存が必要です。
- 「疑わしい取引」の届出が義務づけられます。
絶滅の恐れのある野生動植物の種の保存に関する法律
象牙製品、ウミガメ科の端材、背甲を取り扱う事業者は、種の保存法に基づき事業所ごとに経済産業大臣、環境大臣への届出が必要です。
- 象牙製品等を取り扱う事業者には、その取引の量、相手方の氏名、住所等の確認と記録が義務づけられています。
- 象牙製品等の取引を行った場合の確認・記録は、取引金額による免除の規定がありませんから、全ての取引について記録する必要があります。
- 象牙製品等の取引を記録した台帳等は、5年間保管することとされています。
電気用品安全法
平成19年12月21日から、旧法である電気用品取締法に基づく表示(「〒」マーク等)があれば、PSEマークが無くても、製造事業の届出及び自主検査を要せず、そのまま販売できるようになりました。
平成20年5月1日から、アンティーク照明器具等を、電気コードやソケット等を新しいものに交換するなどの電気的加工を行い、電気用品として販売する場合には、電気用品安全法第8条第1項(技術基準適合)を免除する例外承認制度の申請をすることができるようになりました。
消費生活用製品安全法
- 石油燃焼機器にPSCマークが表示されていることを確認した上で販売しなければなりません。
個人情報の保護に関する法律
古物商は個人情報取扱事業者として次の義務が課せられます。
- 個人情報を利用する目的を明確にすること。
- 個人情報の適正な取得と利用目的を本人に明らかにすること。
- 個人情報を正確に記録すること。
- 個人情報を安全に管理すること。
- 一定の場合以外に第三者に個人情報を提供しないこと。
などです。
チケット不正転売禁止法
- 何人も特定興行入場券の不正転売をしてはなりません。(特定興行入場券は、定価を1円でも超えて販売すると不正転売となります。)
- 何人も、特定興行入場券の不正転売を目的として特定興行入場券を譲り受けてはなりません。
消費税法
- 課税仕入れを行う事業者がその課税仕入れを行う際に、買い取る資産が密輸品であることを知っていた場合には、当該課税仕入れに係る消費税額について仕入税額控除制度の適用を受けることができないこととされました。
- 事業者が「金又は白金の地金」の課税仕入れを行った場合において、その課税仕入れの相手方(売却者)の本人確認書類を保存しない場合には、仕入税額控除の適用を受けることができないこととされました。